なぜ合格実績を公開しないのか
合格実績を出さない3つの理由今回は、お問い合わせの時に質問を頂くことが多い「合格実績」についてお話致します。
ファイでは、「どこどこに何名合格!」といった合格実績を出していません。
私が実績を出さない理由は、大きく3つあります。
1.そもそも実績は誰のものなのか
2.実績に釣られると、親の教育感が歪む
3.私の目が曇る
これらについて一つずつ解説していきます。
そもそも実績は誰のものなのかどの業界でも実績は大切。
実績があるからお客が選んでくれる。
それ自体は間違いなく、売るためには必要なことだと思っています。
しかし「合格実績」が子どものためになっているのでしょうか。
実績の為に売れる学校を受けさせて球数を用意したり、塾をやめた子の実績を追いかけまわしたり。
こうやってかき集めた実績は誰のためになるのでしょう。
これは塾が売れるためであり、親の目にとめてもらいたいためです。
事実、実績を目立つようにすれば売れています。
とある塾でよく使われる手法として、右肩上がりのグラフと矢印があります。
よく見てみると、途中で数字が減っていても、矢印は右肩上がりになっていることがあります。
数字が一桁で人数が少なくても、大きく力強いグラフになっていることがあります。
難関校をひとくくりにして、数字を大きく見せている塾もあります。
これらに飛びつくのは誰でしょう。
子どもは塾の実績なんて見ていません。
見ているのは親だけです。
実際、私はローカルな場所で、合格実績を入れた宣伝を出したことがあります。
すると実績を出していない時よりも、問い合わせの反応が7~10倍程度増えるのです。
指導料もかなり割高に設定しているにも関わらず、です。
でもそれで来る子どもはというと、全く差がありません。
差があるのは、親だけなのです。
実例紹介同じ塾に二人の看護師志望の子がいました。
一人は偏差値40位の学校の子で、専門学校に行くとのことで、応援されていました。
もう一人は偏差値70近い、県内トップレベルの学校に行っている子です。
この子も専門学校に行くと言ったら周りから猛反対されたのです。
看護なら大学もあるし、頑張れば医者にもなれるのに、何で看護師なんだ、と。
もちろんこの子なりにちゃんと理由があったのです。
しかし塾の先生も学校の先生も、何とか塾を続けてもらい、難関大学を受けさせようと躍起になっていたのです。
子どもの将来は学校や偏差値で決まるというより、学校や偏差値が子どもの将来を決めてしまっているのが現状です。
将来の幅を広げるために、と言っておきながら、矛盾していますよね。
実績に釣られると、親の教育感が歪む実績を見て塾を選んだということは、その実績を目的として塾に入っていることになります。
すなわち、その学校に入れるという期待や、そのレベルまで成績が伸びるという期待を買っているとも言えます。
こうなると、どうしても目的と遠ざかっているときに、親はイラついてしまうのです。
通販で注文した定期便の商品が全く届かないのに、お金だけ支払い続けているのと同じですから。
もちろん夢や希望を買うのが悪いわけではありません。
同じ希望を子どもも持って、子どもが自らその路線に乗っているのか、が重要なのです。
ちゃんと乗れる子がいるのは事実ですし、受験路線に乗った方が受験に強いのは間違いありません。
しかし大手の塾でその路線に乗れる子は1割程度なのが現実です。
残り9割は、何となく乗っている、親に乗せられている、引きずられている、のいずれかで、
その中で2~30人に1人、2人良く伸びる子がいる程度です。
そして何より大きな違いが、実績に釣られて私の所に来た方と、実績を出していない私のところに来た方では、
親の変わり方が全く異なるのです。
実績に釣られて来た方は、
「何とか合格させて下さい!」
「成績を上げて下さい!」
という希望が強く、合格をさせるつもりも成績を上げるつもりもない、と申し上げているのに、
どうしても期待が抜けきらない方が多いのです。
一方、実績を出していない所から来た方は、
「勉強を楽しんでもらいたい」
「子育てを楽しみたい」
「親子関係を改善したい」
という方が多く、そのために親が物凄い勢いで変わっていくのです。
結果的に伸び率がどれくらい違うのかというと、
合格や成績を目的としない方の方が、5倍程度子どもの伸び率が高かったのです。
私の目が曇る私は10年以上、大手の塾にいて、実績を出してきました。
どこどこの実績を出して欲しい、という依頼を受けて、ピンポイントで実績を出す請負もしてきました。
いわゆる「お金を積めば実績出すよ」というアウトソーシング的な指導です。
よく「優秀な子を教えてきた話ですよね」と言われるのですが、
平均偏差値40のクラスを全員偏差値50以上にしてクラスそのものを消滅させるとか、
そういうこともやっていたので、子どものレベルはあまり関係ありません。
ただ、あまりに塾本来のやり方からズレていて、どの塾でノウハウを教えても
「無理、真似できない」と言われていました。
でも依頼は実績なのでね。
出せと言われれば合格させてきました。
そういう塾を沢山見てきたのですが、やっぱり先生も合格させるために一生懸命になるんですよ。
たとえ子どもがついてきていなくても。
酷い塾だと、赤紙といって、生徒がやめたら謝罪文を書かなければならないところもあり、とにかく親を離れさせないように必至なところもありました。
結局実績を出そうと思うと、どうしても大人の事情が先行してしまって、子どもと向き合えないのです。
それは私も同じです。
合格実績を出してしまえば、どうしてもどこの学校を合格させたいとか、そういう気持ちが先行してしまいかねません。
でもそれは子どもには全く関係のないことです。
変な欲望やバイアスが入ると、子どもが見ている世界を正しく見られなくなります。
だから親に求める以上、私自身が求めてはいけないと思い、実績は出さないことにしました。
受験コースについてファイには受験コースを作って、受験向けの指導もしていますが、受験コースであっても合格を目指すものではありません。
受験を通して成長してもらうのが目的で、成長したら合格できるかもね、というあくまで副産物に過ぎません。
受験対策も私が教えてしまうのではなく、子どもに考えてもらいます。
宿題も出しませんし、やれともいいません。
分析の仕方とか、直し方とか、自分でできるようにしてもらって中学生になるので、中学校に入ってから圧倒的に楽になります。
既存の受験スタイルでうまくいってない、子どもにあった勉強スタイルを見つけたいという方はご連絡をお待ちしております。
合格を捨ててでも、習得する価値が高い勉強スタイルを身に着けられるでしょう。