ファイでは受験やテストを目的としていないため、当然テストで点を取ることも目的としていません。
そのため、こちらから宿題を出したり、何かをやらせたりすることはありません。
「勉強なんてやりたければ勝手にやればいい。やりたくないならやらなくてOK!」
というスタンスで接しています。
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そんなことしたら、全然勉強しない子になってしまいませんか?!
いいえ、そんなことはないのです。
逆に、勉強しろと言って、引っ張り続けたら、どれだけ勉強するようになると思いますか?
実は勉強しろと言い続けて勉強し出す子は、ほぼ皆無です。
一方、全く何も言わなかったのに、勉強し出す子の割合は、実に8割にも上ります。
これは偶然の結果ではなく、必然の結果です。
つい言ってしまいたくなることで、子どもを勉強から遠ざけているのは、親の方なのです。
ここで、勉強をさせようとしないファイでは、子どもがどうして勉強するようになるのか、簡単にお話しましょう。
例えば、釣りが大好きで、テストの前でも釣りをしに行ってしまう子がいました。
この子は普段の勉強はもちろん、テスト前すら勉強していません。
しかしこの子は、理科は人体の仕組みの単元に入ったときに、特に勉強していないのに、あっという間に理解してしまい、高得点を取ってしまいました。
そこからこの子は「趣味で点が取れるんだ」ということに気付き、面白そうな単元だけを勉強するようになりました。
するとその単元もあっという間に吸収できてしまい、次々と手を広げて勉強するようになり、気付いたら家族に「ずっと勉強してるよね。どうしちゃったんだろう。」と言われるまでになってしまったのです。
もちろんこうなるまでに放置し続けたわけではありません。
この子は釣った魚はもちろん、魚の種類や説明しながら裁いている所を動画で撮って送ってくれていました。
釣った魚で自分で料理もしていました。
それらの話を日々聞きながら、勉強とつなげられそうなところをつないでいたのです。
ファイではこれを「気付きの布石を打つ」と言っています。
この布石が引っ掛かると、勝手に勉強の世界に入ってきてくれる、というわけです。
ファイではこれを意図的に狙っているので、概ね8割くらいの子が、1年以内に何かしらの形で自分から勉強し出す様子を見ることができています。
しかしこれ自体はそんなに大変でもないので、ご家庭でも十分できるのです。
問題なのは、いくら布石を打っても、子どもが変わった瞬間に親が気付かず、タイミングを逃してしまうことが多い、ということなのです。
以前、全く勉強しない、と言って大手の中学受験に通っている小4の子が来ました。
偏差値は30から40を漂っている感じでした。
入ってきた段階では、親が無理矢理漢字ドリルと計算ドリルを、朝と夜にやらせている状態でした。
私は塾の宿題を全てやらせないことを提案し、この子は塾に通っているとき以外勉強しなくなりました。
そんな日々が続いた半年後、突然自分で早く起きて、言われる前に計算と漢字ドリルをやってきました。
お母さんは大喜びで、連絡をくれました。
それから5日くらい続いたのですが、またパタリとやらなくなってしまいました。
さて、なぜこの子は唐突に朝起きて勉強し出したと思いますか?
点が取れるようになりたくなった?
たまたま早く目が覚めたからやってみた?
いいえ、違います。
この子はお母さんの喜ぶ顔が見たかったのです。
実は勉強し出す一週間ほど前から、仕事で大変なことが起きて、お母さんは大変な思いをしていたのです。
これについては、私もその話を聞かせてもらっていました。
結構大変な出来事だったので、その一週間は、お母さんの笑顔が消えていたのでしょう。
子どもは子どもなりに、何とかお母さんに笑顔になって欲しいと思い、勉強してみた、というわけです。
そうだと予想していた私は、お母さんが喜んで連絡してきたその日に、この話をしておきました。
そして、「数日したら、またやらなくなる。その時は、『勉強したことが嬉しいのではなく、頑張ろうとした姿が嬉しい』、と伝えてあげて欲しい」と話しておきました。
それからこの子は、お母さんの笑顔のために、学校やお手伝いなど、色々なものを頑張ってみるようになりました。
朝と夜の勉強はやめさせました。
朝やるのを頑張ることが成績につながるわけではないので。
その代わり、お母さんの代わりに調べて、考えて、教えるようになりました。
「明日どこどこに行くから、何時に出ればいいか調べてくれない?」
「この野菜、どんな料理にするのがいいか調べてくれない?」
「疲れたから今日は早く寝たーい!」 → お母さんが早く寝られるように考えてくれました。
このように、塾の宿題はやっていませんが、実生活から考え方や知識を学んでいったのです。
その結果、練習していないのに、塾の漢字テストで点が取れるようになってしまいました。
実生活で数字にも触れているので、比と文章題が出来るようになってしまいました。
結果的に、小6の夏ごろには、ほとんどノー勉の状態でありながら、偏差値55くらいまで伸びてしまったのです。
お母さんは、
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あの時、切替先生に今後どうなるかの話を聞いていなかったら、朝勉強しなくなったことにショックを受けて、結局いつも通りに戻ってしまっていたと思います。私を喜ばせたかったなんて思いもしなかったので、気付いて下さって本当に感謝しています。
と仰って下さいました。
今回はハッキリ変化が表れた例をお話しましたが、実際には本当に些細な変化しか現れないことも多く、そのきっかけを活かしきれずに元に戻ってしまうことは多々あるのです。
そしてせっかく勉強の土俵へ連れてこられたとしても、テストで通用する勉強ができるかどうかは別問題です。
先ほど何も言わなければ、8割の子は勝手に勉強し出すタイミングが来る、とお話しましたが、放っておくと、やってもうまくいかず、やらなくなってしまう子が大半なのです。
そのため、ファイではやり出したときに空回りをさせないように、その子に合った勉強スタイルを、日々考えている、というわけです。
この子の場合は、お母さんの笑顔が喜びであり、お母さんも子どもが頑張ってくれることが喜びだったので、机上で勉強時間を確保するよりも、お母さんと一緒にいる時間を長くとって、その中で考えて知識を増やすやり方の方があっていたのです。
もちろんどういう課題を与えると効果的か、は日々アドバイスしています。
このように、親子がお互いに満足を得られるものから学べるものを学ぶようにしても、十分テストに通用してしまうのです。
こうなると、テストの為の勉強は、邪魔になってしまうんですね。
そしてテストの為に勉強しなくなると、テストがあってもなくても勉強するようになるため、テスト前に頑張ることもほとんどなくなります。
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通常テスト前に頑張る子は、テストが終わると勉強しなくなりますよね?
でもファイの子は、テストが終わっても、受験が終わっても、今まで通り勉強し続けるのです。
これが本来の勉強であり、進学後も使える勉強になるのです。
なのでファイでは受験やテストを目的とした勉強はさせない、と明言しているのです。